世界初の「音力・振動力発電」技術で新しいエコロジー社会の実現を目指す音力発電。小学校時代からその技術を考えていた速水氏に、大学発ベンチャーへの思い、「音力・振動力発電」の未来について伺った。
菊池:創業のきっかけと経緯を教えてください。
速水:高校2年生くらいの時、アメリカで大学発ベンチャーが流行っていると、テレビや新聞で報道され始めました。日本でも、日本の経済活性化のためには大学発ベンチャーを増やすべき、という議論が出始め、その存在を知りました。もともと、自分が好きなことで仕事をしたいと思っていたため、大学を選ぶ際、大学発ベンチャーに力を入れている慶應義塾大学のSFC(湘南藤沢キャンパス)を選びました。大学入学時から、会社を作りたいという思いはありました。ただ、思いはあったものの、会社の作り方もわからなければ、何のビジネスで会社を作るのかについても決まっていない状況でした。研究開発が好きだったため、自分が大学の頃研究開発したことをいかにビジネスにつなげられるか、そういったことを実現していきたい思いはありました。大学2年時から「音力発電」と「振動力発電」に関する研究を開始しました。「音力発電」を思いついたきっかけは、小学校の頃、理科の授業で、電気でモーターを回せるのと逆に、モーターを回せば電力をつくれることを学んだ際、スピーカーでも同様に、電気で音を出せるのであれば、音から電気を作ることができるのではないか、と思うようになりました。それを小学校時代から高校時代まで温め、大学2年時から本格的に研究を始めました。
菊池:大学発ベンチャーに力を入れている大学を選ぶ際、海外の大学を検討しましたか。
速水:大学も起業する場所も、まずは国内と考えていました。
菊池:研究内容(「音力発電」や「振動力発電」)は、理工学部の研究内容と思っていましたが、環境情報学部は研究環境としてはいかがでしたか。
速水:理工学部はカリキュラムがあり、それに則って授業が進められ、大学4年時に研究室に入り、教授から研究テーマを与えられ、それについて研究する、という流れです。一方、私は、もともと起業したかった、また、好きなことを仕事としてやりたい、と思っていたため、好きな研究テーマを自分で選べる、また、場合によっては、教授の許可さえ得られれば、学部の1年時から研究室に入れる場として、環境情報学部を選択しました。
菊池:「音力発電」や「振動力発電」のような技術分野の研究をする環境として、SFC、環境情報学部のインフラや教授陣、スタッフについてよかった点を教えてください。
速水:まず、起業したい思いはあるものの、その方法を知らなかった自分の入学とちょうど同時期に、本格的に大学発ベンチャーを支援するSIV(SFC Incubation Village研究コンソーシアム)が立ち上がりました。その組織で、起業の方法を学び、1年時から参加したビジネスモデル・ビジネスアイディアコンテストを通じて、ビジネスモデル・ビジネスプランをブラッシュアップする機会を得ました。また、メンター三田会にもお世話になりました。こういった機会を得られたのは、SFCの環境ならではだと思っています。
菊池:創業してから、貴社の取り組みは周囲に浸透してきていますが、一方で苦労したことがあれば、教えてください。
速水:常に大変でした。会社を設立する前も、個人で企業から受託研究を受けていましたが、その顧客からの継続的な受注が見込めたため、会社を設立しても問題ないと判断したのですが、全てが初めてであり、ビジネスマナーや金銭授受の方法等もわからない状態だったため、苦労しました。また、確立した技術を売るのではなく、研究開発と同時並行で業務を受注していたため、商品を作って納品する際、顧客側が要望する形やサイズに合わせる必要が生じることもあり、納期を守るのが大変でした。他には、社員が増えるようになると、意見のとりまとめ、待遇の検討、顧客との意見が食い違った際の調整等にも苦労しました。ただ、起業すると決めた時点から、全て自分でやること、大変なこともやり抜くという覚悟を自分なりに持っていました。当然、全て自分でやる、と言っても、様々な方にお世話になりながらやっていますが、その覚悟はきちんと持って始めました。起業したいと思っている人にも、本当に大変なことも覚悟できる人にでないと、起業は勧めません。
菊池:創業メンバーは別にして、最初に社員を「採用」するきっかけはどのようなものでしたか。
速水:大学時代の友人から、私がやっていることに興味があり、採用して欲しい、という相談を受けました。友人だったため、性格はわかっているし、機密情報の取り扱いなどについても、信頼できるのですが、一方で、人を雇うことによる責任を負うことに踏み切るまでは時間がかかりました。
菊池:最初の採用の時点では、財務的な余裕はあったのですか。
速水:財務的には、1人の採用であれば問題ない状態でした。また、いざとなったら、自分の給料を下げてでも、採用したいと思っていました。2人目からは、慣れたこともあり、時間をかけずに欲しい人材を募集し、採用できました。
菊池:今の御社に必要な人材像を教えてください。
速水:研究開発ができる理系の人材、できればある程度社会人経験があることが基準です。最近は、今までは行っていなかった新卒の採用も検討してはいますが、まだ社会人経験者が対象です。また、技術営業ができる人材も欲しいと思っています。
菊池:私もお客さまの前に立つ仕事をしていますが、技術営業はやはり大変です。プロフェッショナルの環境で教育しても、お客様の前に立つまでに2、3ヶ月はかかります。理解できて、話せて、質疑応答に対応できて…となると、やはり経験者になるのだと思います。こういう人材は会社も手放さないですし。現在、御社には何名いらっしゃいますか。
速水:SFC-IVにいるのは6名です。半分は技術者、半分は企画及び営業・管理です。
菊池:御社が世の中に知られるようになったきっかけ(メディア上のブレイクスルー)を教えてください。
速水:やはり、テレビ東京のワールドビジネスサテライトの「トレたま(トレンドたまご)」に取り上げられたことが大きかったです。テレビに取り上げられた最初の機会だったのですが、非常に大きな反響をいただきました。
菊池:渋谷や東京駅に「発電床」を置き、その上を人に歩いてもらう、という実験をされていますが、そのような取り組みは、日常的に行われているのでしょうか。
速水:日常的と言えるかどうかはわかりませんが、道路を利用した発電には力を入れて取り組んでおり、協力会社との間で随時実施しています。渋谷のイベントは渋谷区役所からのご依頼により、共同で行いました。また、東京駅の実験は、音力発電としてではなく、慶應大学とJR様の産学連携プロジェクトとなります。このような取り組みは、研究目的だけでなく、「発電床」をメディアに取り上げて頂くことや、皆さんに体験して頂くことで、この技術への理解を深めて頂くことも目的としています。同じような考え方で「発電床」を設置し、クリスマスツリーを点灯させる「参加型イルミネーション」や、「発電競争ゲーム」などのイベントも実施しています。長期的にはこのような地道な活動が大切だと思っています。
菊池:実際に体験された方々の反応を教えてください。
速水:子どもを対象にしたイベントについては、毎回盛り上がります。まず子どもが盛り上がり、その子どもを連れてきた親も盛り上がります。
菊池:例えば、銀座のソニービルの階段は上り下りすると音が鳴り、子どもが遊んでいる様子をよく見かけます。同様に、階段を上り下りすると電気がつくような仕組みはおもしろそうですね。
速水:そうですね。電気がつくのも良いですし、音を出すことも面白いと思います。実際に、ピアノの鍵盤を模した「発電床」を踏むことで音を鳴らすことができます。他の仕組みとしては、一定の電力が蓄積されるとクーポンが発行されるような仕組みも可能です。
菊池:御社が推進する「音」や「振動」による発電が、今後世の中に普及していくための一番大きなハードルを教えてください。
速水:一番というと難しいですが、重要なものはいくつかあります。まずは発電量を増やすこと、耐久性を上げることは当然継続的に取り組む必要はあります。また、量産し値段を安くする必要があります。さらには、技術をどのような製品に応用すれば、便利なものができるのかを考えていく必要があります。今考えているアイディアとしては、非常用階段のフットライトに使用したり、リモコンのボタンを押す力で発電することにより、乾電池を入れずにテレビやエアコンのリモコンを操作できるようにするようなものがあります。特にリモコンは比較的わかりやすく、ウケもいいため、これまで考えていた以上に幅広い展開ができるかもしれません。
菊池:今は「発電側」に立たれていると思いますが、「太陽電池」や「リチウムイオンバッテリー」を取り扱っている方々のホット・トピックは「蓄電・蓄電関連技術」と認識しております。「蓄電」についてはどのようにお考えですか。
速水:自社は、今の体制・規模の制約上、「振動」で発電することに特化しています。「蓄電」は、当然将来的には必要になるため、長期的な観点で協力会社と共同研究を行っています。
菊池:発電した瞬間に電気を必要とする場面での活用が重要ですね。
速水:発電して、その場で使う。使う分だけ、発電する、という発想ですね。
菊池:事業アイディアの練り上げや膨らます作業については、どのように行っていますか。
速水:研究開発を始めた大学の頃から、ビジネスにつなげたい、という思いがありましたので、基礎研究だけではなく、応用例も考えていました。些細なものまで蓄えていった結果、大きく分けると80程度、細かく分けると300程度にまとめる事ができています。そのアイディアを活かして、お客さまから提案があった際、その実行可否、実現までの期間、方法等を、具体的に提案することができます。技術にすごく興味があって、ただ、どんなものに使えるのかわからないから教えてください、というお客さまには、提案型の営業を行っていますが、一方、元々こういうことに利用したいという目的があるお客さまに対しては、お客さまのご要望に沿って研究開発を行っています。
菊池:マーケットサーベイ等を用いて、消費者からの声を集めたことはありますか。
速水:基本的には、費用のかかるマーケティングは自社単独では行っていません。ただし、自社は研究開発型の会社であるため、様々な企業と協働させていただくことが多く、その中にはマーケットサーベイ等を活用される企業がいらっしゃいます。そのような企業と情報交換をさせて頂くなかで、消費者の声に触れる機会を得ています。また、手がけようとしている構想を関係者に話して、消費者視点からの意見を頂くようにしています。
菊池:「音力発電」「振動力発電」を用いたビッグプロジェクト(活用したい場面等)を3つ程度教えてください。
速水:それでは3つの使い方を説明します。1つ目は、リモコンのように必要な発電量が少ない通信機器への適用です。2つ目は、山間部のように、人が滅多に通らないような場所で、街灯を常につけておくのはもったいないので、その代わりに「発電床」とLEDなどの組み合わせで、人が安全に通れるだけの視認性を確保するような使い方です。3つ目は、渋谷のように、人が大勢通る場所に大規模に設置し、商用電源の部分代替として遣う方法です。1つ目の具体的な例として、身近なものでは、携帯電話に搭載できると良いかもしれません。ボタンを押す力や会話の音を元に発電できれば、何らかの機能を補完するモノとなるのではないか、と考えています。2つ目は、山間部や田舎などに加えて、元々送電網のインフラが通っていないような場所(もしかしたら海外、途上国などかもしれません)でも、お役に立てればと考えています。3つ目の具体例は、ターミナル駅など、人が大勢いる場所で、日中、「発電床」の上をたくさん歩いて発電・蓄電しておいて夜の街灯などに利用する、という使い方です。また、少し夢のような話をすると、大きなビルの床や階段、壁を全て発電できるようにし、そのビル自体を「発電所」のように使えるようにしたり、それを公園、住宅等にまで広げたりしながら、街全体を「発電タウン」にできれば素晴らしいですね。当然そこまでには、技術的な要素をはじめ、様々な面において革新的な進歩が必要です。1つ1つクリアしながら、夢を目標に近付けていければと思っています。
菊池:送電技術などを利用しながら進めていけば、「想像できる」未来の姿ですね。是非、実現していきたいですね。
岡崎:携帯電話などの電池が切れて困ることも日常的にありますしね。一時期、ソーラーバッテリーのパネルが搭載された携帯電話がありましたが、太陽光だけではいつでも発電できないわけで、「振動力発電」のように、いつでも振れば発電できるようになるといいですよね。夢がありますね。
菊池:「音力発電社」の技術が他の発電技術に比して、圧倒的に差別化できるのはどの部分ですか。
速水:振動力発電の特徴は、どこでも発電ができる点です。風や波などを含め、振動はあらゆる場所にあるからです。この特徴を伸ばすため、自社ではエネルギーが微量な「音」の振動であっても発電に利用することを目指して研究を行っています。ですので、この技術は、大きな発電というよりは、日常品などへの適用に相性が良いと思います。ボタンを押す、歩く等、日常的に起こる「振動」のエネルギーは非常に小さいものですが、その日常生活にありふれている弱い力で発電することを得意としています。もちろん、波のように大きな力に応用することも可能ですが、先ほど申し上げたように実用化という意味ではまだ少し先の取り組みになると判断しています。自然エネルギーを利用する場面でも、振動力発電では風力発電のプロペラが回らない程度の弱い風や、波力発電に使えないさざ波などの小さい力からの発電も可能ですので、このような特徴を活かした展開が必要になると思います。このような小さなエネルギーを利用するという考え方は、あまり浸透しておらず、なかなかご理解頂くことが難しいところですが、自社では単に発電に関する提案だけをするのではなく、その利用の仕方などを含めて提案することによって、付加価値を高めるというようなスタンスを貫きたいと思っています。このように、これまでとは違った切り口から環境に優しいエコな取り組みをご提案していきたいですし、技術を「適材適所」に活用して頂けるような展開ができれば良いと思っています。具体的には、「太陽光発電」の活躍できない夜は「発電床」によって消費電力を抑えたり、トンネル内で「風力発電」と「振動力発電」を組み合わせて使ったりと、その場の環境に合わせた技術をハイブリッドで活用することも良いと考えます。それから、必要に応じてこれらの発電技術の応用や利用方法等も提案させて頂くことも、私は重要だと思っておりましてこだわっております。そのため、自社といたしましても提案型の(技術)営業を行うことを心掛けております。
菊池:我々消費者の立場としても、企業が推進する大規模なエネルギーインフラ整備より、日常生活で用いる腕時計や携帯電話が電池切れになることの方が身近で、生活に紐付いている課題ですし、是非実現していただきたいです。
速水:もちろん広い意味でのインフラを作っていければ良いですが、ベンチャーですので、現実的にできるところを狙っていきたいですし、これまでにない産業・分野を提案したいと思っています。
菊池:「音」や「振動」は場所が変わっても普遍的なものですし、海外からの引き合いもありそうですね。
速水:国内に比べれば少ないですが、定期的にヨーロッパやアメリカ、アジアを中心に問い合わせはあります。特に海外は、国レベルや省レベル(中国)からの大規模な話を頂くことがあります。しかし自社の技術特性をご理解頂くのに時間がかかることもしばしばです。また、そもそも海外とのやり取り、情報交換は、法律や言語の問題もありますが、自社の体制上、社内で対応するのは難しいため、日系の代理店経由で行っています。
菊池:特許戦略については、どのような体制で取り組まれていますか。
速水:自社の規模を考えると、知財にはかなり力を入れていると言えます。特許に限らず、契約に関することは全て、力を入れている方だと思います。研究開発型の会社だから、ということもありますが、社の信用につながる部分でもあるため力を入れており、提携先企業からも信頼していただいています。
菊池:速水さんにとって、より良い未来の社会像を教えてください。
速水:まず、エネルギーや環境に関する「より良い未来」についてお話しさせて下さい。「チーム・マイナス6%」という取り組みがありました。温室効果ガス排出量を1990年に比べて6%削減する取り組みでしたが、今は削減するどころか、増えてしまっています。その理由を考えてみると、1990年に比べ、一人ひとりがより多くの電気機器を利用するようになったからだと思います。モバイルからユビキタス、ウェアラブル等、新しいサービスがでてきました。そういった新しいサービスは必要ですが、新しいサービスを使うために化石燃料の消費を増やすような、「負の循環」を断ち切り、これからは、新しいサービスの発展に合わせて、日常生活の中で捨てられている振動など、過去にはなかったエネルギー源を活用していくという視点を持つことが望ましいのではないでしょうか。「エネルギーハーベスト(環境発電)」という言葉が最近一般的に使われ始めていますが、私は5年前の会社創業以前から、そのような発想で研究開発を続けてきました。また、エネルギーや環境というテーマとはずれますが、大学発ベンチャーがもっと活発に活動する社会が実現されると良いと思います。自社としても、大学発ベンチャーの「1つの成功事例」になれれば良いな、それも1つの社会貢献かな、と思っています。大学発ベンチャーが社会からも認められ、起業しやすくなるサポート体制も整備されるような社会になり、起業が増えるという「正の循環」が生まれるといいなと思います。それも「より良い未来」の一つの要素だと考えています。
菊池:(大学発に限らず)ベンチャーが少ない理由、ベンチャーの成功例が少ない最大の原因はどこにあるとお考えですか。
速水:広い意味で、「周りの環境」と言えると思います。大学発ベンチャーに関しては、教授・教員が起業する場合と、学生が起業する場合があります。自分の経験に重ねている面もありますが、学生の起業に期待しています。というのは、教授・教員の仕事をしながら起業しても、どうしても中途半端になってしまうと思っているからです。周りの評価・理解、社会的に言うと文化と言ってもいいのかもしれませんが、なかなか成功に結びついていなくても、リスクをとって取り組んでいること自体を認められるような文化になれば、起業しやすくなるのではないかと思っています。また、起業する側、ベンチャー企業に就職する人に対しては、自分のやりたいことを認識することが大切であり、大学発ベンチャーには、大学が支援組織の中でそういうことを教えることが重要だと思います。
菊池:速水さんは、やりたいこと、テーマを小学校の頃から持ち続け、それに向かう思いや覚悟をお持ちだったわけですが、テーマを持っていない人が多いと感じています。多くの人がテーマを持てない理由について、どうお考えですか。
速水:理由の1つは、憧れがなくなったからだと思います。私が大学に入学した頃は、IT分野の起業家が多く、メディアへの露出も多かったため、憧れを抱いている方が多数いました。しかし、現在は、少なくともメディア上では、憧れの対象ではなくなっています。むしろ、「不景気」に関する報道の方が多い状況で、結果として、安定した公務員や大企業への志望が増えているのではないでしょうか。それは仕方がないことですし、そういう性格の方にとっては、公務員や大企業に進む方が合っていると思います。無理に起業をしましょうとは言わない方が良いと思っています。ただ、自分でやりたいことがあったり、ベンチャーを起業したいと思ったりしているのに、やりにくい、周りの理解がないことを原因にできない、というのはもったいないと思っています。
菊池:起業する際のリスクはどのようにお考えでしたか。
速水:まず、親の説得が必要でした(笑)。父親は30~35歳くらいまでは好きなことをやって良い、というスタンスでしたが、母親はなるべく大きい企業に入った方が良い、というスタンスでした。また、元々は学部時代に起業しようと思っていましたが、実際は個人で研究開発を受託するに留め、起業したのは修士課程に進んでからでした。ご支援頂ける取引先がいたことと、周りからの評価が伴ってきたことから、大丈夫だろうと思って会社を設立しました。助走期間をきちんととり、学部の頃に起業したかったけど待った方が良いだろう、まだ研究開発の時期だろうと思い、最終的には修士課程に入ってから起業しました。1つ1つ悔いのない選択をしてきています。そもそも、会社を作らなければ将来後悔するだろう、という思いがあり、私の性格上、一度就職してしまうと、その会社である程度納得するまで続けると思うので、起業するのが遅くなる、若しくは、起業しなくなるのではないか、という自己分析があり、結果、起業に至りました。
菊池:速水さんにとって、「働く」とはどういうことですか。
速水:自分がやったことが世の中に対して良い貢献になるか、ということです。もちろん、生計を立てるためには働かなければならず、自分や家族、また社会のためにも頑張ることが必要でしょう。しかし、働いた結果、世の中に付加価値を提供できれば、それが(自分自身のために努力していることであっても、それは家族のためになり、社会のためになり、)そのサービスを受ける地域やお客さまのためになり、それを拡大していくと、日本のためになり、最終的には世界のためになるのではないでしょうか。人によって貢献の種類や度合いは異なりますが、「働く」ということは、一見、自分のために頑張っているようにみえますが、社会のために頑張っているという面も必ずあるのだと思っています。ただ、社会のためになっているということを確認するのは少し難しいですね。個人的にも、認められるかな、受け入れられるかな、という気持ちもありました。今は、イベントなどを通して、色々な方から「ありがとう」と言ってもらえることで、貢献できている、という実感を得られています。
菊池:最後に、学生や若者、起業したいけれど悩んでいるような方々に、メッセージをお願いします。
速水:研究開発の話からすると、うまくいくことよりも、うまくいかないことの方が圧倒的に多いのですが、なかなかうまくいかない時間が続いて、少しうまくいって、またなかなかうまくいかない時間が続いて、また少しうまくいって、ということが繰り返され、ある時ブレイクスルーがある、という流れになります。それを何回か繰り返すと、結果的に良いものができあがっている、ということが多くあります。なかなかうまく行かないときもがんばり続けないといけないわけですが、そこでどうして続けられるかというと、私の場合は好きなことを研究テーマとして選んでいたからだと思います。好きなことなので、大変だとは思いますが、辛いとか、嫌だとは思わないです。人から与えられたテーマであれば、そう思うことはあるのかもしれません。「好きなことであれば、大変でもがんばれる、がんばり続けられれば後で成功する」、これは研究開発だけに限りません。好きなことを仕事として選べば、がんばれるし、成功する確率は高くなると思っています。
菊池:ありがとうございました。
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会社名
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株式会社音力発電 (soundpower corporation)
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事業内容
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・音力発電、振動力発電に関する基礎研究
・振動力発電を適用した新製品の研究・開発・貸出・販売 ・振動力発電技術の適用可能性の検討などに関するコンサルティング ・エネルギーハーベスティング技術及びマイクロエネルギー関連技術の研究 |
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ホームページ
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取材者:
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菊池
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カメラマン:
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國本
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取材日:
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2011-02-22
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